2007年12月14日金曜日

Banff

Banff滞在中はずっと天気が良く、とても快適でした。
Conferenceでの講演や一般演題のレベルは高く、MS研究の最新情報が聞けたものの、内容を全部理解することはとても不可能で、勉強不足を痛感しました。
残念ながら、免疫に関してはMNI以外からの発表はほとんどありませんでしたが、いくつか興味深い報告がありました。ひとつは、Stanford大からのPPARdのノックアウトマウスでのEAEの報告で、PPARdノックアウトマウスでMOG誘導のEAEを発症させると寛解がなく、症状が持続することが示されました。PPARdのリガンドによるEAEの治療が過去に報告されていましたが、PPARgリガンドやPPARaリガンドほどの効果はなく、またPPARdリガンドでは活性化T細胞のIFNgやIL-17産生は影響されにくいと考えられていました。ところが、PPARdノックアウトマウスのリンパ球をin vitroで刺激したところ、ワイルドタイプと比較してCD4細胞からのIL-17やIFNgだけでなく、IL-10などのTh2サイトカインの産生が増加することが示されました。興味深いことにこのノックアウトマウスのB細胞を抗CD40抗体とBCR架橋で刺激したところ、IL-12とIL-6の産生がワイルドタイプよりも亢進していました。PPARdはIL-17を中心とする炎症反応を制御している可能性があり、MSなどの自己免疫疾患での関与も十分に考えられます。
また、MNIからデンマークに移ったOwensらのグループにより、IL-18 binding proteinのEAEに対する治療効果が発表されていました。IL-18はIFNgを誘導するサイトカインとして知られていますが、興味深いことにIFNgノックアウトマウスに誘導した高度のEAEに対しても十分な治療効果を示しました。治療によりEAEのCNSのIL-17発現は低下しており、IL-17抑制を介した治療効果と推定されました。
いずれも治療に結びつく可能性のある研究として注目すべき内容と思われました。

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