2007年7月24日火曜日

B細胞研究

コロラド大学生物エネルギー学研究所のチーフディレクターで、同大学のコンピューター生命科学センターのアシスタントディレクターでもあるDr. Karen Newellがサバティカル休暇で1週間Neuroimmunology Unitに出入りすることになり、今朝のラボミーティングに参加してくれました。彼女は20年前にMNIでポスドクをしていたこともあり、時々訪問するようです。彼女は細胞のエネルギー利用と細胞死メカニズムに対する造詣が深く、免疫調整因子としてのB細胞の役割に興味があるようです。ラボでB細胞の研究をしているのは私と、大学院生(master)と、新しく加わったポスドクの3人ですが、それぞれが研究テーマのプレゼンをして内容をディスカッションしました。
B細胞は他のリンパ球と異なり、その分化過程において多様な働きをします。今注目しているのはCD27陰性のナイーブB細胞サブセットですが、一部で強力な調節性細胞としての役割を持つことがわかりました。このサブセットはFas分子を発現せず、アポトーシスに抵抗を示すことも分かっています。抗原非依存性に活動する調節性B細胞は自己免疫疾患の治療に結びつく重要なサブセットと考えられます。また、B細胞は様々なTLRを発現しており、多くのTLRリガンドに反応して増殖活性を示し、それぞれ異なったサイトカインを分泌します。このような活性化が他の免疫細胞にどのように影響を与えるのかは全く分かっていません。TLR9刺激などでは抗体産生も促されることから自己免疫疾患においても重要な役割を担っている可能性があります。さらに、B細胞は活性化して形質細胞に分化するとCD20陰性となり、CD138が陽性となりますが、CD138はSyndecan1とも呼ばれ、I型細胞膜貫通糖蛋白で、ヘパラン硫酸(Heparan sulfate:HS)を含む膜型Proteoglycan(HSPG)です。この分子が他の細胞に対して影響を与えている可能性についても現在解析を進めています。

0 件のコメント: