2007年5月30日水曜日

sHLA-G

今日、sHLA-G5をトランスフェクトしたHela細胞を培養して得られた上清のsHLA-G濃度をELISAキットで測定してみました。
2つのT75フラスコから約20mlの上清が得られましたが、その濃度は約2000Unit/mlで、だいたい0.8~1.0μg/mlに相当するようです。思った以上の濃度が得られて良かったです。来週、500Unit/mlから段階希釈してB細胞を刺激し、48時間後の増殖反応をトリチウムを使って測定してみます。

今週はB細胞をIL-21、IL-4、IL-10などのサイトカインとともに培養しています。2日おき程度に上清と細胞を回収して経時的な変化を解析してみます。

2007年5月28日月曜日

クーザ

モントリオールで生まれたシルク・ドゥ・ソレイユの新作「クーザ」を観てきました。
$60の一番安い端っこの席でしたが、もの凄く良かったです。
休憩30分を挟んでの約2時間、ハラハラどきどきの連続でした。子供たちも途中怖くて目を背けたりもしたみたいですが、終始大興奮で観ていました。しかも子供用に座席用補助クッションが用意されており、小さくても視界は良好。
思った以上に子供たちにうけて良かったです。

2007年5月26日土曜日

地下鉄のVerdun駅の近くにあるVIANDAL CHARCUTERIEというお肉屋さんに車で行ってきました。
近所のスーパーでは肉のスライスが買えないので、豚肩ロースの薄切りと牛ヒレ薄切りを買ってみました。300gずつくらいで十分だったのですが、言いそびれていたら1kgずつのパックになってしまいました。1ヶ月はもちそうな量です。それでも両方で$16(約1700円)です。

そういえば、昨日まで続いていた公共交通機関のストライキが終わりました。地下鉄・路線バスを運営しているSTM社の整備員たちが、待遇改善を求めたもので、先週の火曜日から始まっていました。モントリオールの地下鉄の歴史は古く、年々整備の負担が増えているにも拘らず人員の増員や待遇の改善もなく、経営者側との交渉の場の要求が主な理由だそうです。ストでも朝・夕のラッシュ時と深夜は通常運転していたので、私は影響なかったのですが二度と起きないようにしてほしいものです。

2007年5月24日木曜日

Spring Concert

今日は下の子の幼稚園でSpring Concertが午後7時から近くの教会で行われました。日本の幼稚園でいう「お遊技会」や「学芸会」と同じで、クラス毎に歌や踊りを家族の前で披露します。日本のお遊技会とは雰囲気がまるで違いますが、子供にとってはこちらの方が緊張しないでいいようです。

2007年5月23日水曜日

IgG

昨日、培養B細胞の上清のIgG濃度をELISAで測定してみました。
予想に反してBCR刺激を加えた群のIgG産生が低く、IL-4よりもIL-21の方がIgG産生に強く影響しました。
CD40刺激+IL-21でのIgG濃度が最も高く、約700ng/mlでした。
今日は生存している細胞の増殖能をトリチウムの取り込みによって測定しましたが、増殖能はほとんど0でした。
次回の培養実験ではもう少し条件を工夫してIgGの産生量を増やしてみます。

2007年5月21日月曜日

旧市街とジャン・ドラポー公園


今日は天気が良かったので、旧市街へ出かけました。初めてジャック・カルティエ広場から観光馬車に乗って旧市街をひと回りしました。30分の観光で$45です。旧市街での観光馬車の値段は一律に定められているようで、1時間の観光だと$70だそうです。1998年に生まれた「Nagano」という馬が引いてくれました。新緑と春の陽射しがなんとも心地よく、数百年前に建築された重厚な建物の間の石畳をたたく蹄の音を聞いていると別世界にいるのを感じます。
北米最大のカトリック聖堂のノートルダム大聖堂を見学したあとは、遊具のあるサンテレーヌ島のジャン・ドラポー公園で体を動かしました。ジャン・ドラポー公園はセントローレンス川に浮かぶサンテレーヌ島とノートルダム島の中にあり、1967年の万博が開催された跡地です。サンテレーヌ島には遊園地のラ・ロンドや水の博物館であるバイオスフィアがあり、ノートルダム島にはカジノサーキット場があります。サーキット場はF1のカナダグランプリが開催される場所で、普段はサイクリングやローラーブレード用に公開されています。今日は遊んだ帰りに車でサーキットの中を走ってみました。HONDAのゲートの下をくぐったり、バックスタンドの前を走ったりするのは結構快感でした。

2007年5月19日土曜日

洗車


今日は久しぶりにいい天気になったので、洗車をしてきました。
うちから車で5分くらいの所にある洗車場に行ってみました。倉庫のようなガレージで4人くらいが流れ作業で手洗いをしてくれます。シャンプー洗車で車外だけだと$7で、車内の掃除も含めると$14だそうです。
10時半ころに出かけましたが、ガレージの中ではすでに2台が洗車中でした。列に並んでいると、まず1人目の店員が圧縮ホースで水洗いをしてくれます。列が進んで1台分前に進むと、別の店員が大きなスポンジに洗剤をつけて隅々まで洗ってくれます。もう1台分進むとまた別の店員が大きな布できれいに水を拭き取ってくれます。全行程は約15分くらいで終了します。あまりガラのいい場所ではないのでちょっと怖かったですが、久しぶりにきれいな車に乗って気持ちがとてもよかったです。
午後は子供たちと近くの公園で縄跳びをしました。家の前の通りも公園の中の木々もすっかり緑で覆われました。 木の葉のお陰で通りからうちのアパートが見えなくなってしまいました。

2007年5月17日木曜日

Hela細胞

 今日はドイツの研究者から供与していただいたHLA-G5の遺伝子を形質移入したHela細胞の培養に取りかかりました。Mock細胞と一緒に液体窒素に保存された細胞を37℃の水槽で一気に解凍し、培養液の中に放り込んで保存液のストレスから細胞を開放してあげます。遠心後に培養液で再浮遊して細胞数を数えてみると、HLA-G5遺伝子導入細胞は1,200,000個あり、そのままT75と呼ばれる培養フラスコに移し替えてインキュベーターに入れました。
 HLA-G5は可溶性の蛋白質なので、培養上清にどんどん分泌されます。上清中の蛋白質を精製して実験に用いると効率がいいと思うのですが、タグもついていないので精製は非常に困難なようです。しかも、これまでの実験から培養上清でも十分に作用することが分かっているので、今回もそのまま上清だけを集めます。目的はHLA-G5によるB細胞の活性化の解析です。
 膜型のHLA-G1遺伝子を導入したLCL細胞も液体窒素に眠っているので、可溶性の蛋白の実験のあとはHLA-G1を発現したLCL細胞との共培養におけるB細胞の活性化を解析します。

 明日、明後日はIL-4とIL-21で刺激したB細胞の培養上清の回収日です。うまくIgGの産生が誘導されていることを祈るばかりです。来週ELISAで確認します。

2007年5月12日土曜日

シンポジウムその2

今日はシンポジウムの2日目で、9時からワークショップがあり、私はMRIのセッションと顕微鏡のセッションに参加しました。
MRIはMNIのArnold教授の講義が中心でした。脱髄・再髄鞘化の指標としてMagnetization Transfer Contrast画像が有用であり、特に経時的な変化をピクセル毎に観察すると、治療後に脱髄から再髄鞘化に変化するのが一目瞭然でとても感激しました。
顕微鏡のセッションはモントリオール大学のCostantino講師の講義が中心でした。彼は顕微鏡などに用いるレーザー工学が専門で、一般的な蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡から最新の多光子励起顕微鏡、全反射照明蛍光顕微鏡などの原理や特性、さらには実際の応用例などについて詳しく説明してくれました。電子顕微鏡に近い解像度の画像を作れる所まで技術が発展しているとは思いませんでした。

シンポジウム

昨日から1泊でChateau Bromontというリゾートホテルに来ました。
場所はモントリオールから南東方向にバスで1時間くらいの小さなスキー場で、近くに動物園なんかもあるようです。
MNIが中心になって博士課程の学生やポスドクを対象にNeuroinflammation Training Programという1人あたり年間$25,000ほどの助成プログラムがあり、受給者や対象となっているラボの若手が親睦を目的に集まったもので今年で2回目だそうです。

モントリオール中のラボから神経免疫に携わる若手研究者(+数人のボス)たちが挙って参加し、総勢70人ほどが学会形式で口演発表、ポスター発表、ワークショップでお互いの研究を紹介し、意見を交換しあいます。
それぞれ免疫学、神経科学、分子生物学、脱髄モデル、疫学など得意とする方法論が異なるものの、ターゲットの多くはMSであり、かなり疲れますが、とても勉強になります。
夜はバーを貸し切って2時くらいまでみんなで踊って大騒ぎ。部屋はランダムに割り振られ異なるラボの人との相部屋です。

2007年5月9日水曜日

生物学的安全キャビネット

今日はMcGillの講堂で全学対象の安全キャビネット(BSC)の講習会があり参加してきました。
BSCにはクラス1からクラス3まであり、最も頻用されるクラス2にはタイプA1、タイプA2、タイプB1、タイプB2があります。
クラス2は通常HEPAフィルターを吸気口と排気口の両方に設置し、作業者、室内環境、作業試料すべてを保護しますが、タイプA1は揮発性の物質に適していません。タイプB2は空気の再循環が全くないので、揮発性物質に対しても安全に使用できます。クラス2のキャビネット内ではガスバーナーは使用できません。
その他の一般的な注意事項として、
・使用前後に20分程度の運転をすること
・使用前後の消毒(70%EtOHなど)が重要
・UV照射は必要最低限で(通常1週間で2時間程度で十分)
・人のいる部屋でのUV照射は厳禁
・ドアの近くや人の往来の多い場所に設置しないこと
・吸引設備の放置はコンタミの原因になる
・使用中にキャビネット内の空気の流れを妨げないこと
などなど、約30分の講習でしたが、使用法について再確認できてとても良かったです。

2007年5月7日月曜日

培養

昨日から風邪を引いてしまいました。
熱はないようですが、咳と痰が出て節々が痛みます。
そんな中、今日から新たな実験に取りかかりました。
 
まずは金曜日に継代しておいたCD40L-transfected線維芽細胞に放射線を当てて増殖能を壊します。それを96穴の培養プレートに適度な細胞密度で蒔いておきます。
次に自分の腕から血液を120mlほどをEDTA入試験管に採取します。Ficollを用いて比重遠心法でPBMCを採取し、MACSセルソーターを用いてCD19陽性細胞だけを集めます。今日は風邪気味だったせいか217M個も集められました。
今回は、以下の条件での培養において産生される免疫グロブリンを解析します。
1.無刺激のB細胞
2.+BCR刺激
3.+CD40L
4.+BCR +CD40L
5.上記1.~4. +IL-4
6.上記1.~4. +IL-21
7.上記1.~4. +IL-4 +IL-21
BCRの刺激はIgG抗体+IgM抗体の刺激を24時間加えるため、今日はBCRの刺激を加えないB細胞だけを線維芽細胞と共培養し、BCR刺激を行っているB細胞は明日線維芽細胞のプレートに移します。
解析は7日間と11日間の両方で行う予定です。

2007年5月5日土曜日

散髪


補習校へ子供たちを送った後、美容室に行って散髪して来ました。通りがかって見つけた、PEEL駅にあるChez Georgesというお店で、空いてて安そうだったので散髪だけ頼んでみました。
最初に助手らしきおばちゃんにシャンプーされ、そのあと50歳くらいのおじちゃん美容師が出てきて、どんな風に切るかと聞かれたので、2ヶ月伸びた分を切ってほしいと頼みました。
日本人だと言うと、この店で使っているハサミはすべて日本製の手作りで、一つ数百ドルするものばかりだと嬉しそうに話していました。
散髪はかなり大雑把で、生え際はガタガタで、散髪後にシャンプーもしてくれないので切りかすがそのまま残った状態で終了。髪の長さはいい感じで、値段も$25だったので我慢することにしました。このお店、来月別の場所に転居するそうで、開店したら知らせますと言ってたけど、次回は家の近くのお店で試してみます。

2007年5月2日水曜日

リツキサン

今日の朝一のポスターセッションで自分の発表をしてきました。
3月にすでに論文として雑誌に記載された内容なので、批判的なコメントはなく、多くは技術的な質問で、あとは知り合いが数人挨拶に来たぐらいでした。内容は、NMOの髄液を用いて軸索損傷のマーカーであるリン酸化ニューロフィラメントH鎖(NfH)をELISAで測定したところ、急性期、慢性期に拘わらずNMOの25%で髄液NfH値が異常高値を示したというものです。MSの髄液では全例正常範囲で、NMOがMSと異なり、軸索傷害がその病態に強く関わっていることを示しています。今回の発表内容が明日の夕方のHighlightセッションで紹介される可能性があるとのことでスライドを4枚ほど作って送ってあるのですが、残念ながらその時点ですでにボストンを離れており、どのように紹介されるか聞くことができません。
 
今回も例年通り、MSのClinical trialのオーラルセッションは人で溢れていましたが、話題はヒト化モノクローナル抗体治療でした。中でもCD20抗体であるRituximabはMS治療のphase Ⅱが終了し、36週の評価時で造影病変の著明な減少と再発率の低下が示され、安全性も高く、かなり話題になっていました。RituximabはNMOに対しても再発率の減少がオープン試験で証明されており、これらの病態にB細胞が強く関わっているとことが示唆されます。また、抗CD52抗体であるAlemtuzumabもAvonexとの2年間の比較試験において有意な有効性を示しており、いよいよインターフェロンに代わる薬剤が一般化しそうな雰囲気です。そのほか、抗CD25抗体のDaclizumabや糖尿病治療薬であるPPARgアゴニスト、経口薬であるLaquinimodなどの有効性も報告されており、今後は併用療法の効果についての議論が進んで行くに違いありません。

夕方からはFenway ParkにRed Soxの試合を観に行きました。相手はアスレチックスです。ベケット投手の好投で見事勝利を収めました。10年振りのFenway Parkでしたが、グリーンモンスターがきれいになって上に観客席が出来ていました。残念ながら松坂君には会えませんでした。

2007年5月1日火曜日

AAN

AANは29日から始まっていますが、今日からポスターと口演による一般演題が始まりました。
ポスターセッションは1日2または3セッションあり、最初のセッションは朝7時からで、演者は7時から8時半までポスターの前で質疑応答をする義務があります。
ポスターセッション中は他のScientific Programは行われず、すべての参加者がポスター会場に集まってディスカッションを繰り広げます。
 
印象に残った発表は、スイスのDr.von Budingenのポスターで、MS髄液中の形質細胞を単離し、RT-PCRを用いてIgG領域のクローニングし、そこからreconminant IgGを4例のMS患者から7種類作成していました。免疫染色でその抗体活性を調べたところ、5種類がミエリンに反応し、2種類がアストロサイトに反応していました。具体的な抗原はわかりませんが、MSの髄液中に脳由来の抗原に反応するB細胞活動が証明されたことになります。また、スペインのDr. Villarは、脂質抗原を用いてMS髄液中のIgMオリゴクローナルバンドの有無を調べていました。陽性の患者中の髄液ではCD19陽性細胞の有意な増加が認められていました。このことは、MSの一群において、脂質に反応するB細胞が中枢に存在することを示唆しています。
 
10時からは地下鉄に乗ってNew England Aquariumに行ってきました。グリーンラインからブルーラインに乗り換えて30分くらいで到着しました。ボストンの地下鉄は片道一律$2で、11歳以下は無料です。
水族館は建物の中心に円柱状の水槽があり、中で鮫、海亀、縞鯵、エイなどが悠々と泳いでおり、螺旋状になった通路を歩きながら見学します。円柱状の水槽を囲むように周辺にテーマ毎に小さな水槽が配置されかなりの種類の魚介類を観ることができます。1階はほとんどすべてペンギンで、3種類のペンギンを間近に観ることができます。建物の外にはアシカなどの水槽もあり、餌付けやトレーニングの見学が出来ます。これと言った目玉はありませんが、あちこちでマイクを持って説明する職員を見かけ、子供たちに知識を伝える努力が印象的でした。